VarioLight(広域運動・回転変形に対応したプロジェクションマッピング)
プロジェクタを利用した拡張現実感であるプロジェクションマッピングは,建物などの静止対象に向けて広く普及しつつあるが, 動的対象に向けては様々な困難が存在していた. 本研究室では主に二種類のアプローチで動的対象に遅延による違和感のない ダイナミックプロジェクションマッピング(Dynamic Projection Mapping: DPM)に取り組んできた. 高速光軸制御系(サッカードミラー) を用いて広範囲に運動する物体に追従投影する方式 (るみぺん/ るみぺん2)と, 高速プロジェクタ(DynaFlash) を用いて衣服や顔など柔軟体の形状変形に対応し投影する方式 (顔への投影/ 紙や衣服への投影)である. これらの方式は低速プロジェクタに起因する投影可能な対象の制約や, 固定画角に起因する対象の運動範囲と投影解像度のトレードオフなどの課題を個別に有していた.
本研究室の新たなシステムVarioLight(図1)は両方式を統合することで, 広範囲に運動し,回転変形する動的な対象へのダイナミックプロジェクションマッピングを実現した(図2). 従来手法では実現できなかった広範囲性と対象変形性の両立によって, ステージ上でのダンスや大道芸のようなダイナミックな動作を伴うパフォーマンスへの応用(図3)が期待されるのみならず, 激しい動きを伴うスポーツのような状況において対象のダイナミクス自体を投影像に反映させた新しい表現(図4)も可能となり, プロジェクションマッピングとしての表現の更なる多様化が期待される.
図1 VarioLightのシステム概要
図2 うちわに花火の動画を投影する様子
図3 ジャンプする人の持つうちわに投影した様子.
図4 ヨーヨーの回転速度に応じてテクスチャの大きさを変化させ,投影した様子.
参考文献
Yuri Mikawa
, Tomohiro Sueishi, Yoshihiro Watanabe and Masatoshi Ishikawa: VarioLight: Hybrid Dynamic Projection Mapping Using High-speed Projector and Optical Axis Controller, SIGGRAPH Asia 2018 Emerging Technologies (p.17), Tokyo, Japan, 4-7 Dec. (2018)
三河祐梨
, 末石智大, 渡辺義浩, 石川正俊: VarioLight:高速プロジェクタ及び光軸制御による非対称な移動物体への投影型拡張現実感システム, 第23回日本バーチャルリアリティ学会大会 (VRSJ2018) (仙台, 2018.9.19)/論文集, 14D-4.
※本文書は
石川グループ研究室ホームページでの執筆内容
に準拠しています.
<< Back